「好き」と「仕事」と「お金の流れ」

最初に就いた仕事は環境調査の仕事。時期的には環境影響評価が注目され始め、環境影響評価法がもうすぐ制定される…という頃で、いわゆる環境アセスメントの先駆けである。どこかで大規模な開発が行われる時、その場所の自然環境への影響を調査することを請け負っている会社だった。

 

主要なミッションとして力を入れていたのは、その場所に貴重な動植物が生育・生息しているか、いるとしたらどうやってそれを保全していくかを提案する、ということだった。

 

今思うと本当に歯がゆいほどになにも見えていなかったのだけれど、それでも「この会社なら貴重な自然環境をないがしろにはしない」という青い正義感を満足させる部分に仕事の価値を感じていた。

 

しかし、数年ほどして(ようやく)私は気がつく。

 

あれ…? 動植物が好きだから調査の仕事をしているのに、私が調査した素敵な場所は、全部開発されていく…。

 

開発するために調査しているんだから当たり前である。世の中の「お金の流れ」というものについて初めて意識を持った瞬間だった。

 

今なら、それでもあの会社の仕事、やり方には意義があったと思うし、私自身に力があったらもっといろいろやりようもある環境だったのにな、と悔しく思う。けれど、当時は結局どこかで聞いた「開発の片棒担ぎ」という言葉の重さに耐えきれなくなってしまった。